音がする。







その日は晴天だった。



キラとラクスは久しぶりに二人きりで、散歩に出かけたのだった。



歩き出すと、瞳に映るのは、きれいな花々。

肌に感じるのは、さわやかな風。

そして……心に感じるのは、穏やかな時間。



二人は無言だったけれど、それでよかった。それだけで癒された。

悲しみを埋めあうようにして、寄り添う。それだけで。



でも……



「ラクス、手、つなごっか?」



いつからか、それだけでは、満足できない自分が居て。



キラは声を裏返してしまいながらも、手を差し出した。



きっと今の自分の顔は赤くなっているのだろう。

そんなことを思いながら、らくすの顔を覗き込むと、ラクスも赤くなっていて。



クスリ。



二人で笑いあうと、手をのばす。

握り合った手は暖かく。



それは、きっと始まりの合図。








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