特別な日のおはよう













鳥の声が聞こえる。



まだ眠っていたい。そうキラが思っていると、かすかに聞こえてくるやさしい声。

「キラ、キラ……起きて下さい」

ラクス……の声。

そう思った瞬間キラの意識は覚醒した。



「ラクスっ?!」

「おはようございます、キラ。」



にっこりと笑うラクス。

キラも微笑むと、少し気まずそうに笑う。

「ごめんね、寝坊しちゃったみたいで……」

「いいえ。キラは昨日も頑張っていらっしゃいましたもの、仕方ありませんわ」



そう、キラは昨日の夜、ずっとフリーダムの整備をしていたのだ。

AAの攻撃、守り、ともに主戦力であるフリーダムのチェックは手を抜けない。

少しの怠りが、重大なことを招くかもしれないのだ。

そうして、キラが眠りについたのは、早朝。寝坊してしまうのは当たり前だ。



「……本当に、ちゃんと休んでくださいね?」



ラクスが心配そうに顔を覗き込むと、キラは「うん」と頷いた。

そしてラクスは満面の笑みを浮かべる。



「キラ、誕生日おめでとうございます」



え……?

びっくりするキラに、ラクスはくすくすと笑う。



「キラ、今日はあなたとカガリさんの誕生日ですわよ?

もしかして、忘れていました?」

「あ……本当だ……」



どうやらキラは本当に忘れていたようで。ラクスはますます可笑しくなってしまった。



「となると、カガリさんの誕生日も忘れていたということですわね。カガリさん、きっと怒りますわよ」

「あっ!!」



しまった。という風にキラは叫ぶと、がばり、とベッドから立ち上がった。

プレゼントの用意をしていない。

どうしよう。

あわてるキラに、ラクスは「キラ」と呼びかける。



「キラ……カガリさんのプレゼントもいいですが、ね?」



そういって差し出したのは小さな箱。

きれいな包装紙で、きれいにラッピングしてある。



「……」

「キラに、誕生日プレゼントですわ。カガリさんのこともいいですけど、たまには自分のことも考えてください。皆さんも心配していらっしゃいますわ」

「うん……」



キラが頷くと、ラクスは満足したようだ。

「次はカガリさんに」

そういいながら、キラの部屋を後にした。













ラクスがキラの部屋から去って、しばらくたった後。

キラは部屋から出たとたん、大勢の声に迎えられた。

マリューさん、バルトフェルトさん、ミリアリア……そして、カガリ。



「キラ、誕生日おめでとう!!」



「???」



何がなんだかわからない様子のキラだったが、意味を理解すると晴れやかに笑った。



「みんな、ありがとう。それに……おめでとう、カガリ」



さあ、特別な一日の始まりです。










←back