ルルカレ小話。2





まだ濡れた髪。
したたり落ちる雫が、服を濡らす。
ぽたり。ぽたり。
雫が、幾つものしみをつくっていく。

これ以上、濡れるのを避けるために、首まわりにタオルを巻いた。
ふわり。
やわらかな香りが鼻をかすめ、カレンは思わず微笑んだ。

が、それと同時に、思い出してしまって、赤面する。
彼に、見られてしまった、と。
必死だったと言えばそうなのだが……カレンとてまだ若い少女でしかないのだ。恥ずかしいことには変わりない。

ふと、鏡に映った自身を見て、カレンは驚く。自分はこんな顔をしていたのだろうか、と。
レジスタンスに身を置き、戦う日々。そんな中、こんな顔をした自身など、見たことがなかった。
けれど。

カレンは何かを吹っ切るかのように、目を閉じた。
ぱちん。
両頬を、手で軽く叩いた。小さな音が、小さな空間に響く。
目を開けると、カレンはゆっくりと体を動かした。扉に向かう。ノブに手をかけて、押し開く。
その表情は、もう、先ほどの面影を残してはいなかった。

ちゃ。きぃ。
音と同時に、彼の姿が見えて、カレンは目をつり上げた。

「ありがとう。ルルーシュ……くん」

不敵な笑みと共に、口に出すと、ルルーシュも笑う。
自然な、笑みだった。
カレンは、本題を切り出した。ここで、口止めしなければ。

「さっきのことだけど……誰にも……」
「言わないよ」

あっさりとした言葉。カレンは目を見開いた。
どうして。言葉が出てこない。
そんなカレンの様子に、何を思ったのか、ルルーシュは続ける。

「そんなに、構えないでくれないか? 特に何かを要求するつもりはないし……ただ、そうだな、もうあんなまねはしないでくれないか?」

あまりにも簡単な取引。自分にとっては有利すぎるほどの。
カレンはルルーシュを見つめた。
本当に、この男は、何も関係がないのだろうか。裏表なく、こう言っているのだろうか。
真実を見極めようとするが、その眼から読み取れるものはない。

「わかったわ……あんな事はもうしない」

カレンはため息と共にそうはき出した。
何故か、心のもやは晴れない。けれど、どこか安心できる気がした。
ルルーシュの、瞳をのぞき込む。彼は、緩やかに笑った。

「ありがとう」

カレンは目を見張った。ルルーシュの、声が、自分を貫いた気がした。





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ルルカレ二つ目!
わかりにくいかもしれませんが、三話後。あのシーンの後。
「見えてるんだけど」
やばいですね。あまりにもべたですね。
ちなみに、タオルなんてほんとはしてないんですけどね(笑)
妄想妄想……。