ルルカレ小話。1





ルルーシュ・ランペルージ……ね。
カレンは隣に座る少年に、ちらりと視線を向ける。
新宿。
彼はそう言った。あの、新宿での出来事のすぐ後に。
けれど、先日話してみて、接してみて、彼はあの人物と同一ではない。そう結論づけた。

なぜだろう。
同じクラスだった。にもかかわらず、先日、初めて言葉を交わした。
そして、疑った。
疑いは今はもうはれたが……それだけだ。
たった、それだけのはずだった。
それなのに、こんなにも胸をいっぱいにする。
なぜだか、目が、離せなくなる。

カレンはため息をついた。
だめだ。
頭を振る。こんなことに、気を取られていてはいけない。

「どうかしたか?」

瞬間、かけられたのは彼の声。新宿での声によく似た、響き。
カレンは息を飲んだ。
彼の瞳が、カレンを見つめている。紫紺の瞳。
彼が瞬きをするたびに、長いまつげが、揺れる。
カレンは思わず見とれた。

「本当にどうかしたか? 体調でも悪いのか?」

カレンははっとした。
『病弱なカレン』が、こんな風に男性を見つめていてはいけない。

「いえ、大丈夫……ありがとうルルーシュ君」

『病弱なカレン』の笑顔を返す。ルルーシュはそれを見て、くすり、と笑った。
それに、カレンが首を傾げると、ルルーシュがくすくす、と笑いながら告げる。

「別に、今は二人なんだし、猫かぶる必要もないと思うけど……ま、どういたしまして」
「な! で、でも、どこで誰が見てるかなんて分からないじゃない」

的を射た言葉に、カレンは顔を赤くしながら反論する。ルルーシュは、首をすくめて、「わかったよ」と一言。
それにカレンは、さらに顔を赤くして。

「もういい!」

そう言い切って、頬をふくらませた。

怒った表情。とがらせた唇。
けれど、カレンはそのやりとりを、どこか楽しくさえ感じていた。

自分が、いる。そう思った。
普段の生活。何も変わらない日々。
けれど、彼に見とれたのも本当。
今、楽しい、と思っているのも本当。

なぜだろう。なぜ、彼と一緒ならば、『自分』になれるのだろうか。
カレンは、ふとそう考えた。





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三話後に書いた、妄想が詰まったもの。
ルルカレかわいい。
なんかときめく。
三話後に二話見ると、もうやばかった……!